着物の基礎知識

着物に不慣れな人は迷ってしまう!着物の前合わせは右前?左前?

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今回は、着物を着用する際に、意外と迷ってしまう人が多い事柄について解説します。近年では、普段着として着物を着用する機会が極端に減っていますが、夏の花火大会や、温泉などでは浴衣を着る機会があります。

このように、久しぶりに着物を自分で着る時には「あれ?左右の身頃はどちらを上に重ねるのが正しいんだっけ?」などと迷ってしまうことも珍しくないのではないでしょうか?茶道や華道などを習っていて、普段から着物を着る機会が多ければ、このような基礎の基礎で躓いてしまうことはないですが、洋服が当たり前となった現在では『着物の前合わせ』で迷ってしまう人が多いとよく耳にします。
そこで今回は、せっかく着物を着用するときに間違った着方になってしまわないよう、正しい前合わせの状態と、その確認方法について解説していきたいと思います。

意外と知らない着物用語について

それでは、本題に入る前に皆さんがイマイチ聞きなれない着物用語についてご紹介しておきましょう。冒頭で「着物の前合わせ」とご紹介しましたが、そもそも「前合わせってなんだ?」と思った方も少なくないかもしれませんね。そこでここでは、着物を着用する際には、ぜひ覚えておきたい用語についてご紹介しておきます。着物に関する用語には、「上前」「下前」「右前」「左前」など、一見、方向を表しているだけのような用語があるのですが、実はこれらの言葉の意味をおさえておくだけでかなり違います。「意味不明だ…」と思うかもしれませんが、規則性を掴んでしまえばとても簡単ですので、以下にご紹介する内容を頭に入れておきましょう。

上下の覚え方

まずは「上前」と「下前」から説明していきましょう。この二つは以下のような意味があります。

  • 上前(うわまえ)
    着物を着た時に、前を合わせた『上』になる部分のことで、左前身頃と左衽の部分を指しています。
  • 下前(したまえ)
    上前とは逆に、着物を着て、前を合わせた時の下になる部分です。右身頃と右衽の部分を指しています。

上記のように、「上前」と「下前」に関しては、着付けられた着物を構成している部分を指していますので、とても簡単でイメージしやすいと思います。

左右の覚え方

次は「右前」と「左前」についてです。目で見て直感的にわかる「上前」と「下前」と異なり、こちらは意外とややこしいのでしっかりと覚えておきましょう。

  • 右前(みぎまえ)
    右手で持っている方を『先に着付ける』ことを指しています。
  • 左前(ひだりまえ)
    左手で持っている方を『先に着付ける』ことを指しています。

このように、「右前」と「左前」については、着付けの際に用いられる用語となります。わかりやすく覚えるためには、左右の場合、『前』と表現されるのは「時間的な前」を表しているということで、「先に着つける方」を『〇前』と表現するのです。

どのような業界でも同様ですが、その業界で働いている人であれば普通に理解できることでも一般の人からすれば「何を言っているのか分からない?」ということは少なくないですよね。着物業界は、こういった用語の意味の難しさが顕著ですので、よく利用される用語はしっかりと覚えておきましょう。
「上前と下前は着物の部分を指す!」「右前と左前は着付けの順番」と覚えておけば、間違いないと思いますよ!

右前・左前どちらが正しい?

それでは本題の「右前・左前どちらが正しい?」という疑問について解説していきましょう。
答えから言ってしまいますが、

『着物の前合わせは性別に関係なく「右前」が正解』

となります。
具体的に説明すると、先に右側の身頃、続いて左側の身頃を重ねるという順番で着付けしていくと覚えておけば間違いがないと思います。
見た目で覚えてしまおうと考えた場合、自分から見ると、右側の身頃が肌に近くなると覚えておけば良いのですが、鏡で見たり、相手から見ると左側の方が上に重なっているので意外にややこしいです。加えて女性の場合は、ブラウスやコートなど、洋装のボタンが左身頃についており、右身頃を上に重ねて着る形となるので余計に混乱してしまう方も少なくありません。したがって、先ほど説明した『右前』の意味と「右前が正解」と覚えておくのが良いでしょう。

迷った時の確認ポイント

最後に、記憶があいまいで迷ってしまった時の対処法をいくつかご紹介しておきます。普段着物を着る機会が少なくなってしまったため、用語の意味などは意外と忘れてしまうものです。以下のような覚え方をしておけば着物を着用するときにとても便利だと思いますよ!

確認ポイント1 『y』の形

これは見た目で確認するための方法です。着物を着用したときに、一度鏡で自分の姿を確認してみましょう。正しく着物が着用できている場合には、衿元の形状がローマ字の「y」の形になっているはずです。
着物は、相手(you)から見た時に、衿元が「y」の形になるといった感じで覚えておくと良いかもしれません。

確認ポイント2 右手で確認

次は動作による確認方法です。正しく着物が着用できている時には、右手が懐に入るような形状になるのです。これは、多くの人が右手が利き腕になるため、右手が懐に入るなどと覚えておきましょう。

確認ポイント3 裾の柄を確認

最後は着物の柄から判断する方法です。もちろん柄のない着物もありますので毎回使える方法ではありませんが、柄が入っている着物の場合は便利です。着物は柄の美しさで着飾るものでもありますので、着付けた時には最も美しく見えるよう外側に柄が見えるはずですよね。したがって、柄がたくさん書かれている方がきちんと外側になっているのか意識して着付けてみると良いでしょう。

迷った時に確認する手段としては、上記のような方法があります。ポイント3に関しては、必ずしも使える方法だとは言えませんが、ポイント1とポイント2に関してはいつでも使える方法だと思います。

まとめ

今回は、着物に不慣れな人は迷ってしまう!着物の前合わせは右前?左前?についてご紹介してまいりました。いかがでしたか?
普段の生活の中で着物を着用する機会が減った現在では、正しい着物の着付け方が分からない…という人は多いことでしょう。もちろん、結婚式で留袖を着用する、成人式で振袖を着用するなどと言った場合には、専門の方が着付けをしてくれますので、そこまで気にすることはないでしょう。しかし、夏場の花火大会や温泉に行った時には自分で浴衣を着用しなければならない…なんて機会も少なくありませんので、「着物の正しい着用方法なんて私に関係ない!」などとは決して言えないと思います。
いつ必要になる知識かわかりませんので、本稿でご紹介した内容を頭の片隅でも良いので入れておきましょう。いざという時にはとても役立つ知識になると思いますよ!

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