今年も6月に入り、梅雨を過ぎると本格的な夏がやってきます。夏場の普段着と言えば、Tシャツにジーンズなど、気候に合わせて薄着になっていくのが一般的です。しかし、結婚式など、たくさんのゲストを迎えて行う式典であれば、暑いからと言っていい加減な格好をするわけにはいきません。
一般的にですが、結婚式は天候も安定し、過ごしやすい気候である春や秋に行われることが多いのですが、当然、夏場に結婚式を開催するカップルもたくさんいることでしょう。そのような場合、ゲストをお招きする立場のご両親は、黒留袖を着用したときの暑さや汗に頭を悩ませることも少なくないのではないでしょうか。もちろん、近年では、結婚式場も披露宴会場も空調設備が整っていることがほとんどなのですが、神社で執り行う神前式やガーデンウェディングなど、屋外で行う結婚式の場合、空調設備などありません。
そこで本稿では、夏の結婚式で、黒留袖を着用する場合の暑さ・汗対策についてご紹介します。
着物は季節によって着分ける
それではまず、着物の常識として『着物と季節の関係』について少し触れておきましょう。普段の生活の中で『洋服』を着用するのが当たり前となった現在では、着物の慣習なども忘れられがちです。実際に「夏場の結婚式に留袖は暑い…」などと言う声をよく耳にするのですが、本来、留袖に限らず、着物というものは「季節に応じて着分ける」という慣習があり、きちんと暑さなどへの対策も考えられているのです。これは、日本には美しい四季があるためで、古くからそれぞれの季節感を大切にするという日本文化ならではの特徴なのです。したがって、格式の高い式典である結婚式に、四季に合わせた留袖を着用するのは、最適な選択と言えるのです。
季節による着物の着分けについて
それでは、季節の違いによる着物の着分けについて、もう少し詳しくご紹介します。普段の生活の中で着物を見慣れていない方であれば、留袖を着用している方を見ただけで、季節によって着物に違いがあるなど気づけないかもしれません。しかし、古くから「冬は凍えるほど寒く、夏は暑い」という四季を持った日本では、きちんと季節ごとの装いが考えられていたのです。一般的な着物の着分けは以下のようになっています。
- 着物でも過ごしやすい気候である10月~5月頃までは『袷(あわせ)』を着用
- 夏の始まりや終わりの6月や9月は『単衣(ひとえ)』を着用
- 最も気温が高くなる7月~8月は『薄物(うすもの)』を着用
着物と季節の関係は上記の様に着分けることとなり、さらに『薄物(うすもの)』と呼ばれるものには絽(ろ)や紗(しゃ)と呼ばれる素材の違いもあるのです。
このように、着物は日本特有の四季に合わせて着分けを行うことができ、特に夏用着物に関しては、生地の素材や仕立て方にさまざまな工夫が凝らされていますので、暑い夏場でも涼やかに着こなすことができるのです。特に、風通しがよく着ている人に負担がないだけでなく、透け感があり、デザインも夏仕様となるため、見ている周囲の人まで涼やかな気持ちにさせることができるのは、着物だけの特徴なのではないでしょうか!
夏の結婚式で留袖を着用するときの注意点!
それでは、気温の高い夏場の結婚式で留袖を着用する場合の注意点をいくつかご紹介していきましょう。そもそも論になってしまいますが、結婚式の装いは、新郎新婦両家で『装いの格』が揃うようにすることが大切です。黒留袖は、和装の中で最も格の高い第一礼装に当たるものですから、どちらかが洋装を選ぶ場合には、留袖に匹敵する第一礼装のアフタヌーンドレスやイブニングドレスを着用しましょう。
また、上述したように『着物には季節に応じて着分ける慣習がある』のですが、実際には、夏用の留袖を持っている方は非常に少ないでしょう。そのため、夏の結婚式に『袷』で出席してはゲストに失礼に当たるのでは…と不安になる人もいるかもしれませんね。しかし、この点については、特にゲストに失礼に当たるわけではありませんので、そこまで気にしないでおきましょう。これは、花嫁自体が夏だからと言って夏用の白無垢や色打掛を着用することなどほとんどないことだからで、ご両親が『袷』の黒留袖を着ていても構いません。
また、近年の夏は猛暑化する傾向にありますし、9月になっても真夏のような気温になる日も少なくありません。したがって、『着物の着分け時期』をあまり厳密に考えすぎるより、暑さで体調などを崩さないよう、臨機応変に着物の種類を選ぶようにした方が良いでしょう。
ただし、『絽』の黒留袖を着用する場合には、生地の特性上、自然光の下での撮影で留袖の色が薄く抜けがちになります。したがって、両家ともに留袖を着用する場合、一方だけ『絽』の留袖となってしまうと、写真写りにかなりの差が出てしまうので注意しておきましょう!
夏場の黒留袖を快適にする対策
洋装が一般的となった現在では、黒留袖を着用する機会など、生涯を通してもそう多くありません。そのため、着物に対する知識がないのが普通で、黒留袖を快適に着こなすための対策は、ほとんどの方が頭を悩ませる問題となるでしょう。そこで、ここでは、夏場の結婚式などでせっかく留袖を着用するなら、できるだけ暑さを感じさせず快適に着こなす対策をいくつかご紹介したいと思います。
なるべく現場で着用する!
結婚式で留袖を着用する場合、いくら夏場の着用を考えられた単衣や絽の黒留袖であっても、家から留袖を着用していったのでは移動中に汗だくになってしまいます。したがって、まずは会場に留袖に着替えられる場所があるのかをきちんと確認し、現地で着用するのが暑さ・汗対策となります。
ちなみに、弊社のような着物のレンタル通販サイトでは、結婚式会場に着物を直送するサービスも行っていますので、炎天下を大量の荷物を抱えて移動する必要もありませんしオススメです。
長襦袢や肌襦袢を工夫する!
夏場に『袷』の黒留袖を着用する場合、夏用の長襦袢や肌襦袢を利用することがお勧めです。夏用の長襦袢や肌襦袢は通気性が良いので、これらを工夫するだけでもかなり涼しくなると思います。
見た目にも涼しく!
夏場は半衿や帯締めを工夫しましょう。これらは一目で季節感がわかるものですので、着物の種類に合わせて夏用のものを利用しましょう。ちなみに、伊達締めや腰紐は、天然繊維のものを利用すると涼しげな装いになると言われていますので、この辺りも工夫してみましょう!
まとめ
今回は、夏場の結婚式に関して、気温の高い日に留袖を着用するときの注意点などをご紹介しました。夏場の結婚式では、暑さや汗を気にして留袖の着用を躊躇してしまう人も少なくないのではないでしょうか。しかし、最近の結婚式場は、空調設備が整っていますので、例え『袷』の留袖を利用したとしても、そこまで暑さを感じず快適に過ごせると思います。また、本来着物というものは、四季に合わせて着分けするように考えられていますので、きちんと季節に応じた着物や着付け、小物などを選べば、夏の暑さを気にすることもなく周囲に涼しげな印象を与えることもできると思います。
もちろん、夏用の留袖を自分で持っているなどと言う人はほとんどいないと思いますが、最近では、着物のレンタル通販サイトもたくさんありますので、夏場に結婚式を控えている方は、ぜひインターネットで探してみてはいかがでしょうか?ちなみに、貸衣装ぽえむでは、他店舗にはないような、桂由美ブランドの夏用留袖などもご用意していますので、「せっかくの結婚式なのだから、留袖を着用したい!」とお考えの方は、ぜひぽえむにご相談ください!