振袖 着物の基礎知識

成人式で初めての着物…着物を着用する時は下着ってどうするの?

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成人式は、一生に一度のおめでたい晴れの日ですので、ご両親のご希望もあり振袖で出席する人が非常に増えています。特に近年では、さまざまなデザインの振袖の中から、好きなものを選べるようなインターネット上のレンタル通販サイトが多く登場していますので、手間なく手軽に振袖が手に入るようになったのも大きな要因でしょう。
しかし、成人式に振袖の着用を考えている方の中には、普段の生活の中で着物を着る機会が極端に減った現在では、「振袖の下って下着はどうすれば良いの?」と素朴な疑問を持つ人も多いようです。最近では、一般生活の中で着物を着用する機会などほとんどありませんし、多くの方は七五三の際に親に着せてもらって以来、着物に触れることすらなかった…というのが普通なのではないでしょうか?
そこで今回は、成人式当日に困らないよう、振袖を着用するときの下着についてご紹介していきます!

和装には和装用の下着がある

洋装が当たり前となった現在では、着物の下にどのようなものを着用するのか全く知らない…という人が増えています。
もちろん、振袖に限らず、着物などの和装には和装用の下着というものがあるのです。和装用の下着は、肌襦袢と裾よけと呼ばれるものを着用するのが基本で、これらは体から出る汗や汚れを吸収し、肌を清潔に保つのと、長襦袢を汚さないといった役割のため着用するものです。また、これらの和装用の下着は、室内から室外へ移動した際の急な温度変化から体を守る役割も持っており、真冬に行われる成人式などでは、防寒のためにも必ず着用したいものです。

肌襦袢と裾よけの詳細について

それではあまり聞き馴染みのない『肌襦袢と裾よけ』についてもう少し詳細にご紹介しておきましょう。
肌襦袢は、着物と同様、前を合わせて着るのが一般的で、長襦袢と肌の間でなじみ、着崩れするのを防ぐためにも欠かせないものです。素材的には、下着として着用するものですので、吸水性や保湿性、肌触りのよさや頑丈さが考慮されます。ちなみに冬場の成人式などでは、保湿性の高いガーゼ素材のものを選ぶと良いと言われます。
裾よけについては、江戸時代に着物の裾が傷んでしまうのを防ぐために開発されたと言われています。裾よけを長襦袢の下につけることで、裾さばきを良くして歩きやすくなるのがメリットです。また、肌襦袢同様、着崩れを防ぐ役割も持っています。素材的には、絹や綿、ポリエステルのものなど、さまざまな裾よけがあるのですが、着物に着慣れない若者世代にはキュプラ素材のものがオススメです。キュプラ素材の裾よけは、静電気が起きにくいので、着物に慣れない方でも安心して着物を楽しめます。

振袖を着用するときの下着問題

洋装に慣れている現代人からすると、少し違和感があるかもしれませんが、和装を着用するときには、基本的ににブラジャーなどをしません。したがって、成人式で振袖を着る時でも、当然「ブラジャーはしない!」ということを覚えておきましょう。なぜ着物を着用するときにブラジャーをしないのか?というと、これは着物が洋服と全く違う構造をしているからです。
現在では当たり前になっている洋服は、身体の曲線に合わせて生地の裁断を行い、体の凹凸に合わせて服を作っていくというのが特徴です。しかし、着物というのは、生地を直線に裁断して、全体的に直線で作られるものなのです。したがって、洋服はメリハリのある体の方が似合い、着物は寸胴型の体系の人に似合うとされているのです。つまり、着物をより美しく着こなすには、胸のボリュームを抑えて、平らな胸を作ることが大切になり、ブラジャーで大きく盛り上げるのは着物の美しさをダメにしてしまう可能性があるのです。
また、着心地的な問題でも、和装の時は帯などで締め付けられますので、ブラジャーのワイヤーが体に食い込んでしまい痛みを感じることがあるのです。さらに、ブラジャーで胸部分を強調してしまうため、胸元から着崩れてしまう…なんてこともあるため、着付け時などに外しておくように指摘されることとなります。

どうしても振袖の下にブラジャーをしたい人はどうする?

和装の時にブラジャーをつけない理由は分かりましたね。しかし、普段からブラジャーをつけることに慣れている現代人であれば、いくら和装の常識だとは言え、ノーブラなのに抵抗を感じる人もいるでしょう。そういった方がいれば、和装ブラジャーが登場していますので、そういった物を用意しておくと良いでしょう。
和装ブラジャーとは、一般的なブラジャーとは異なり、胸をキレイに押さえつける構造となっており、着物を着用したときになだらかなカーブを作ってくれるものです。着物を着用することを考えた場合、通常のブラジャーをつけてしまうと、帯の上に胸がのっかってしまう形に見え、老けて見えてしまったり、着崩れてしまった際には胸が横に広がり太って見えてしまうことがあるのです。和装は、胸の形ひとつで着物姿の美しさが変わってしまう繊細なものですので、和装ブラジャーを着用してきれいに胸を抑えるのはとても有効です。
なお、和装ブラジャーは、つけていても締め付けられて苦しくなることもほとんどなく、楽に着用できると言われています。代用品を考えた場合、着付け時にタオルなどで胸を平らにする補正をするのですが、この場合、着付けを依頼する人の前でブラジャーを外し、補正してもらわなければいけません。したがって、他人に胸をさらけ出すのが恥ずかしい…という人も多いです。
和装ブラジャーを用意しておけば、着崩れもなく美しい振袖姿を作れますので、恥ずかしい思いもなくオススメですよ!

和装インナーも便利!

和装ブラジャー以外にも、肌襦袢と長襦袢があらかじめ合わせられている和装インナーというものもあります。和装インナーはいろいろなタイプのものがありますが、上から着るだけのスリップタイプの和装インナーだと、着物を着慣れない人でも違和感なく着用することができると思います。最近ではブラジャー機能が付いた和装インナーなども販売されていますので、成人式までに一度チェックしてみれば良いのではないでしょうか?
特に、振袖を着用した場合、袖口から風が入ってきやすいため、冬場の成人式がとてもつらく感じることがあります。したがって、袖のあるタイプの和装インナーを用意しておけば、袖口から寒い空気が入ってきても、暖かさを保つことができ、とても便利だと思います。

まとめ

今回は、成人式に初めての着物として振袖を着用する場合、多くの方が悩んでしまう「下着の取り扱い」についてご紹介してきました。本稿でもご紹介したように、日本の伝統文化といわれる着物ですが、現在では着物を着用する機会などほとんどなく、着物の着用方法を知らない方が普通といった状況になっています。
したがって、普段、洋服を着る時には、必ず着用するブラジャーなど、振袖を着る時にも当たり前のようにつけるものだと考えている人が少なくありません。しかし、着物と洋服は、美しさについての考え方が根本的に異なるため、ブラジャーをつけたまま振袖を着用した場合、仕上がりの美しさが損なわれてしまう可能性があるのです。成人式は、一生に一度の記念日ですので、せっかくなら最も美しい振袖姿を記念に残したいと思うのは誰でも同じことだと思います。そういった時には、本稿でご紹介した内容を思い出し、着物に合わせた下着を着用するようにしましょう!

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